2022-01-01から1年間の記事一覧
ジャジメントの勧誘とは何だったのか ここまで、紫杏本人ついて焦点を当ててきた。以下では、紫杏に大きな影響を与えた周りの人物、彼女の父及び10主との関係について検討する。 前述のように、10主はグッドエンドにおいても紫杏を理解していたわけでは…
何故紫杏はすぐれて魅力的であるのか 前編で取り上げた精神科医のブログの別の記事(これやこれ)において、当該記事の筆者は、①アスカに深く共感して彼女の中に自分自身を見出し、②アスカを自分には到達不可能な理想の顕現と見る(すなわち、自分はここまで…
これまでのパワポケに関する記事では、出来るだけ主張を支える根拠を明示して、読んだ人が少なくとも「そう言われれば確かにそうとも言える」程度の蓋然性を担保するよう心掛けてきた。つまり、単なる個人の意見・感想に過ぎないものは抑制してきた。しかし…
【はじめに】 表題の短歌がたまたまツイッターのタイムラインに流れてくるのを目にして、不覚にも年に数回あるかという文学的な感銘を受けた。この歌は、すぐれて技巧的であり、また意味内容が高密度に圧縮されていると感じた。詩のたぐいは全く門外漢だけれ…
ボカロ曲の中で、『炉心融解』は特別な曲だと思う。正直言って、僕は良いボカロのリスナーではない。このころのボカロ曲の、特に有名な曲くらいしか知らない。それでも、『炉心融解』だけはボカロ曲になじみのない僕にとっても折に触れて聴き返す大切な曲に…
聖先輩の卒業にまつわるエピソードは、あまりに的確に・精密に人の心の最も柔らかいところを貫く。貫かれた僕たちは、言葉を失ってただただ立ち尽くすばかりだ。彼女は本作品内において、明らかに特異な存在である。紅華=宝塚の暗い側面をほとんどただ一人…
前回はメルエムがネテロ・コムギに与えたもの、そして人類すべてに与えようとしたものについて書いた。ネテロとコムギは彼からの贈り物を受け取り、幸福のうちに死んでいったが、人類は彼からの贈り物を拒み、人類の持つ最も暗い部分をもって彼に報いた。 本…
もののけ姫の歌詞が頭から離れない。ふとした拍子にあの歌詞を思い出す。取り憑かれているかのように、何度も何度もその意味内容を反芻する。最近、ようやくその歌詞の中に圧縮された意味内容を十全に掴むことが出来た。それをこれから書く。あらかじめ断っ…