汚職発見のビジコン、または社会科の自由研究としての汚職発見

 【背景】私立中高一貫校に通っていたころ、運動会に出場するには学校指定のハチマキが必須で、何故か500円もした。これについて父がとても怒っていた。こんなに高い訳がない。リベートをもらっているに違いない、と。今考えると、値段設定がおかしいということの証明は簡単だった。他の学校では購入すべきとなっているか、またその際のハチマキの値段はいくらかを調べたり、ハチマキを作っている業者を聞いたり(まさか言えないとは言えないだろう)すれば良かったのだ。修学旅行や制服に関する業者の選定に際しても、このようなリベートは発生していると考えられるが、この場合は売買する商品であるところの制服や修学旅行の内容に学校ごとに大きく差がある為、学校間での比較は難しい。しかし、ハチマキ程度の定型的な商品の場合は、それが出来たはずなのだ。理想的な結果としては、全く同じ業者が全く同じハチマキを売っている他の学校を突き止め、そこでの販売価格が異なっていれば良い。数字を使った完全な実証がこれで出来たはずだ。惜しいことをした。

 【本題】国会議員レベルでも不正が結構発覚するし、見るところ脇がかなり甘い。ということは、市議会や県議会、地方自治体レベルではもっと脇があまいのではないか。初歩的な不正ならば、小中高レベルの学力と知的能力でも、やり方さえ教えれば発見することが可能なはず。これを社会科の自由研究とすればよい。タイトルは『僕の私の町の不明朗会計』なんかどうだろう。または、授業でやればよい。やり方については学校が教えてもいいし、意欲ある保護者や塾、NPOが教えてもいい。その過程で様々な社会の制度や運用実態を知ることになるだろう。これこそが良き公民を育てる教育でないのか。当然、自分で調べる力や考える力、読解力はもとより資料を批判的に検討する力もつくだろう。これこそがアクティブラーニングでないのか。不正を探す対象は、学校でも企業でも自治体でもいい。しかし、もし複数名がこのような取り組みを行うのならば、手法は共有された方が良い。自由研究大賞があるのだから、今回の自由研究に特化した大賞もあっていいだろう。それはビジネスコンテストのようなものかもしれない。応募作の中から特に、論証の方法が優れていたものが表彰され、展示される。つまり、共有される。選考委員からフィードバックがあると尚良い。それらを見て次の回の投稿者は、「なるほどこんな論証方法があるのか、こんな情報の取り方があるのか、こんな視点やテーマ設定があるのか」と学ぶ。つまり、ノウハウが共有され、不断に手法はアップデートされていく。あと、これは現実的じゃないけど、その研究によってどれくらいデカいクビが飛んだかで作品の優劣を決める、とか面白そう。そういうことを妄想した。